おすすめ頭痛薬。医薬情報担当者が市販薬を徹底比較

頭痛でつらい時、セルフメディケーションのひとつとして鎮痛作用のある市販薬を購入しますよね。

ただ、さまざまなメーカーから数多くの頭痛薬が販売されていることは、ドラッグストアの売り場やテレビCMでもお分かりいただけるかと思います。

では、どういったことに目を向けて頭痛薬を選べばいいのか?

CMの女優さんが好きだから…という動機は別として、長年、製薬会社のMR(医薬情報担当者)として医薬品に携わっている筆者が、頭痛薬選びのポイントを解説します。

成分、値段、服用間隔、副作用…気になる点を知り、自分にもっとも合った頭痛薬を選びましょう。

イブプロフェンとロキソプロフェンが主成分の頭痛薬を選ぼう

まず、お薬は大きく次の二つに分けることが出来ます。

  • 医療用医薬品
  • 一般用医薬品

医療用医薬品の選択権は医師にあり、これを処方権と言ってとても強力なものです。患者として説明を受けて治療法の選択に同意することは出来ますが、どの薬を使うかなどの治療法を決める権利は医師にあります。

医師の処方箋がないがないと手に入らない医薬品を医療用医薬品と言います。

一方、一般用医薬品は医師の処方箋がなくても手に入れることのできる医薬品です。これはドラッグストアなどで一般の人が自分で選択して買うことができるお薬です。

この記事では一般用医薬品の頭痛薬についてご紹介します。

インターネット上には「二日酔いの頭痛に効く薬のランキング!」という感じで順位付けしているものがありますが、ここではそのような情報の提供の仕方はしません。

痛みというのは主観的なもので、効果を数値化しづらいためどのお薬がもっとも効くか、という比較が難しいのです。

また、一般的に「痛みを抑える効果が強いと副作用も強い」ということもありますし、飲みやすさやお値段などで総合的に考えた場合、あなたに最もあったお薬はこれです、と一概にはお伝えしづらいからです。

スイッチOTC薬が最も効果が強い

どの痛み止めがもっとも効果が強いか、ということは痛み軽減効果を数値化して比較することが難しい、と先程述べましたが、スイッチOTCと呼ばれる種類の痛み止めが最も効果は強いです。

一般用医薬品は、医師の診察なしで一般の人が選んで服用するものなので、安全のため効果が医療用医薬品よりも弱くなっている傾向があります。

ただ、医療用医薬品の中でも長年の使用実績があり、安全性が確認されているものはスイッチOTCと言って一般用医薬品でも発売されるようになっているものがあります。

NSAIDs(エヌセイズ)と呼ばれる痛み止め薬で医療用医薬品から一般用医薬品に認可された成分は二つあります。

  • イブプロフェン
  • ロキソプロフェン

それぞれを見ていきましょう。

医療用としても使われている頭痛薬:イブプロフェン配合薬

まずはイブプロフェンが主成分となっている市販薬を順にご紹介していきましょう。

その後で、まとめて比較一覧化していきます。

イブプロフェン含有頭痛薬:エスエス製薬「イブ」

イブプロフェンを含んでいるから「イブ」なのでしょう。分かりやすいです。しかし、分かりにくいのはその種類の多さです。

イブには次のように7つもの製品があるのです。

  • イブ
  • イブクイック頭痛薬
  • イブクイック頭痛薬DX
  • イブトレックス
  • イブ<糖衣錠>
  • イブA錠
  • イブA錠EX

どれが良いのでしょうか。

しかも、なんとイブプロフェンを含むエスエス製薬さんの薬は15種類もありました。

ホームページを確認しているとエスエス製薬さんとしては「イブクイック頭痛薬DX」が一押しのようですね。

「イブクイック頭痛薬DX」のキャッチコピーは「つらい頭痛に速攻!イブ史上No.1処方」とあります。

1回に服用する2錠中にイブプロフェンが200mg入っていて、一日の飲める回数は2回までです。

10錠、20錠、40錠の包装単位で売られており、10錠包装で税抜598円です。

イブプロフェン含有頭痛薬:ライオン株式会社「バファリン」

バファリンと言えば「頭痛にバファリン」という歌ですっかり刷り込まれていますが、この商品もたくさんの種類があります。

ライオン株式会社さんのホームページで「つらい頭痛に」すすめられているのが「バファリン プレミアム」です。

バファリン プレミアムのキャッチコピーは「バファリンの最上位アイテム「バファリンプレミアム」」です。

1回(2錠)にイブプロフェン130mgと同じく、痛み止めのアセトアミノフェン130mgが入っています。

1日3回まで飲むことが出来ます。

イブプロフェン含有頭痛薬:大正製薬「ナロンエース」

頭痛薬で有名なお薬に大正製薬さんのナロンエースもあります。ナロンエースシリーズにもいくつか種類がありますが、その中で最強の頭痛薬ではないか、というものを発見しました。

それが「ナロンメディカル」です。

1回2錠服用するお薬で、1回量にイブプロフェンを200mg含んでいます。1日2回までですので、1日量は400mgですね。この量は「イブクイック頭痛薬DX」と同量です。

しかし、「ナロンメディカル」のすごいところは、2回飲んで再度痛みが現れた場合は3回目を服用できる、ということです。つまり1日最大600mgまでイブプロフェンを服用できるということなのです。

「ナロンメディカル」のキャッチコピーは「イブプロフェンを医療用と同量配合」です。

しかし不思議なのはこの知名度の低さです。ナロンエースの名前は定着していると思いますが、ナロンメディカルを私は知りませんでした。

どんなCMで、誰が登場しているのか検索しましたが、見つかりませんでした。不思議な薬です。

希望小売価格(消費税抜)は16錠包装で 680円です。

イブプロフェン含有頭痛薬:株式会社アラクス「ノーシン」

「ノーシン」も頭痛薬として有名ですよね。しかし、製造元の株式会社アラクスさんは知りませんでした。

CMでは社名を出さず「ノーシン」と表示していたという情報があります。だから社名が有名でないのかもしれません。

「ノーシン」シリーズも色々ありますが、イブプロフェンを含有しているものは「ノーシンアイ頭痛薬」です。

「ノーシンアイ頭痛薬」は1回量(2錠中)にイブプロフェン150mgとアセトアミノフェン 65㎎を含有しています。1日3回まで服用出来ます。

希望小売価格は24錠で462円 (税込499円)です。

イブプロフェン配合薬で結局どれがいいのか?

一見すると、イブプロフェンを医療用と同じ600mgまで飲めるナロンメディカルが一番すごそうな感じがしましたが、一度に600mg飲める訳ではありません。

そう考えると、イブプロフェンを1回量200mgまで飲める「イブクイック頭痛薬DX」と「ナロンメディカル」では差がないようにも思えます。

それに、イブプロフェンの含有量は少なくても「バファリン プレミアム」と「ノーシンアイ頭痛薬」には、イブプロフェンと同じく痛みを抑える成分アセトアミノフェンが含まれています。

それぞれ少しずつ含まれている成分やその量に違いがありますが、どれが一番良いか、と言い切るのは難しいです。

なので、次の表で比較してみて、自身にもっともピンとくるものを選んでもらえればいいかな、と思います。

24錠

1日に飲める回数 飲むタイミング 値段 副作用
イブクイック頭痛薬DX 2回まで 空腹時をさけて
服用間隔は6時間以上おいて
598円(税抜)/10錠 発疹・発赤、吐き気・嘔吐、めまい、動悸、息切れ
バファリン プレミアム 3回まで 空腹時をさけて、服用間隔は4時間以上おいて 980円(税抜)/20錠 発疹・発赤、吐き気・嘔吐、めまい、動悸、息切れ
ナロンメディカル 3回まで 空腹時をさけて、服用間隔は4時間以上おいて 680円(税抜)/16錠 発疹・発赤、吐き気・嘔吐、めまい
ノーシンアイ頭痛薬 3回まで 空腹時をさけて、服用間隔は4時間以上おいて 462円(税抜)/24錠 発疹・発赤、吐き気・嘔吐、めまい、動悸、息切れ

他にもイブプロフェンを主成分とする市販薬は数多く発売されています。ざっと該当するものを一覧化したので、選ぶときの参考にでもしてくださいね。

▼クリックで大きな画像がみられます
イブプロフェン主成分の市販薬一覧画像

医療用としても使われている頭痛薬:ロキソプロフェン配合薬

ロキソプロフェンは体内に吸収されて代謝されてから活性を示すタイプのお薬ですので、胃に優しいという特徴があります。

ロキソプロフェンの一般用医薬品の代表的なお薬を見てみましょう。

ロキソプロフェン含有頭痛薬:第一三共ヘルスケア株式会社:ロキソニンSプレミアム

ロキソニンと言えば三共さんの代表的な医薬品です。2005年に三共と第一製薬が合併(経営統合)して第一三共が誕生し、その一般用医薬品部門の第一三共ヘルスケアが翌年に発足しています。

ロキソニンSは本家本元のロキソプロフェンのお薬と言えます。

ロキソニンSにも色々ありますが、一見したところ「ロキソニンSプレミアム」が、一番効果が高そうです。

そのキャッチコピーが「1病でも速く、なんとかしたいつらい頭痛に。シリーズ史上最高処方の鎮痛薬。」

ロキソニンSシリーズの中でも最も有効成分(ロキソプロフェン)が多く入っていることが紹介されています。

その量はロキソプロフェンとして60mg。これは1回量としては医療の現場で使われているのと同じ量です。

ただし、一般用では1回60mgまでですが、医療用では場合によっては倍量の120mgまで使用することが可能です。

量が増えれば効果も高くなりますが、副作用のリスクも高くなります。一般用医薬品で試してみて、それでも効果が不十分と思った時はお医者さんに診てもらいましょう。自分で判断するよりもより安全に、より効果的な処方が期待出来ます。

ロキソプロフェン含有頭痛薬:ライオン株式会社「バファリンEX」

バファリンといえば、すでにご紹介したように「バファリンの最上位アイテム「バファリン プレミアム」」というお薬が存在します。

この言葉どおり解釈すれば、「バファリンプレミアム」のほうが「バファリンEX」よりも良いのでしょうか。

ライオン株式会社さんのホームページには、「お客様の痛みや体質に合わせてお使いください」という主旨のことが書かれています。

そして、バファリンプレミアムは「つらい頭痛に」、バファリンEXは「頭痛・腰痛・関節痛に」とも紹介されています。

これだけ見るとバファリンプレミアムの方が、つらい頭痛には効きそうな気がします。一方、バファリンプレミアムには眠くなる成分が含まれている、とも書かれていました。

眠っていられるならバファリンプレミアム、仕事などで寝ていられないのならバファリンEXという使い分けも出来るかもしれません。

胃にはバファリンEXのほうが優しそうな印象があります。

ロキソニンSプレミアム、バファリンEXの違いは?

ロキソニンSプレミアムとバファリンEXでは、含まれているロキソプロフェンの量に違いがないことが確認出来ました。

では何が違うのか。ロキソニンSプレミアムは1回2錠なのに対して、バファリンEXは1回1錠です。

目立った違いはこれくらいかな、と感じました。やはり自身の生活リズムなどに合ったものを選ぶのが良さそうですね。

1日に飲める回数 飲むタイミング 値段 副作用
ロキソニンSプレミアム 3回まで 空腹時をさけて、服用間隔は4時間以上おいて 698円(税抜)/12錠 発疹・発赤、腹痛、血圧上昇、眠気
バファリンEX 3回まで 空腹時をさけて、服用間隔は4時間以上おいて 598円(税抜)/10錠 発疹・発赤、腹痛、血圧上昇、眠気

他にもロキソプロフェンを主成分とする市販薬で該当するものをざっと一覧化してみました。

▼クリックで大きな画像がみられます
ロキソプロフェン主成分の市販薬一覧画像

頭痛薬の選び方は千差万別!購入前に薬剤師さんに相談するのがベスト

頭痛を緩和するためであれば、頭痛を効能として厚生労働省に承認されているお薬であればどれもおすすめできます。

ですが、なんども言うように特徴に合わせて選んでいただくのが良いかと思います。

各社から色々な種類の頭痛薬が販売されており、どれが一番良いとは断定できません。服用回数やお値段、気になる副作用などを参考に選んでみて、実際に試してみるのが一番だと思います。お薬には合う、合わないがありますから。

ロキソニンを含有しているお薬は第一類医薬品に指定されているため薬剤師の先生の説明を聞いてから買う必要があります。イブプロフェンはスイッチOTCでも例外的に第二類医薬品です。

いずれにしても、心配なときは薬剤師の先生に相談してお薬を選ぶほうが、1人で判断するよりも安心ですよ。

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