熱中症の頭痛は一般的な頭痛と見分けることが大事!正しい対処法とは

熱中症の症状のひとつに頭痛があり、しめつけられるような痛みがなかなか引かないのが特徴です。

頭痛を何とかしたいし…と、頭痛薬を飲むのはちょっと待って!熱中症による頭痛は副作用が強く出てしまい危険です。

この頭痛は熱中症かな?と感じた時どのように対処したら良いのか、詳しく解説していきます。

なぜ熱中症で頭痛が起こってしまうのかのメカニズムも知っておくと、対処しやすいのでお話しますね。

熱中症による頭痛の治し方。頭痛薬の使用は待って!

身体に熱さを感じていて頭痛が起きた時は、熱中症であることを疑って、痛みを取るというよりは、身体の熱さを取るようにします。

  1. まず風通しの良い場所や日陰、室内の場合は冷房の効いた部屋へ移動してください
  2. 着ている服をゆるめて、服の中にこもった熱を逃がしましょう
  3. 脳への血液のめぐりが滞っているため、横になり両足を枕などで少し高めにして休みましょう

保冷剤や濡れタオルなどがあれば、両脇や両側の太ももの付け根に太い動脈があるので、そこに当てて冷やします。

このように、身体を冷やすことにより熱を下げ、全身の血流を正常に戻すことが、頭痛の軽減につながります。

その後、しっかりと水分補給してください。

熱中症になっている場合は汗をたくさんかいており、水分だけでなく、塩分やミネラルも不足しています。普通の水よりもスポーツドリンクや経口補水剤が、身体への吸収も早くオススメです。

頭痛持ちの人は、いつもの頭痛と熱中症の頭痛を混同して、様子をみてしまう可能性が高いので、気をつけてください。

いつもと少しでも違う症状がある場合は、まず熱中症の頭痛の治し方を実践してみましょう。

頭痛の治し方を実践してみても、なかなか痛みが引かない場合もあります。それは汗をかくために働いた自律神経が乱れていて、正常に戻るのに時間がかかるからです。このような場合は、早目に医療機関を受診するようにしてください。

熱中症による頭痛に頭痛薬はNG!一般的な頭痛と見分けることが大事

熱中症の頭痛に頭痛薬を使用してはいけません。

熱中症になっている時は汗をたくさんかいており、いわゆる脱水状態にあります。

身体が弱まっている時に頭痛薬を飲むことによって、副作用が強く出てしまいます。胃腸障害や低血圧、ひどい場合には意識障害を起こす危険があるので、注意が必要です。

熱中症により起こる頭痛と、頭痛薬が有効な一般的な頭痛では原因が違うため、見極めが大切なのです。

熱中症による頭痛 緊張型頭痛 偏頭痛
頭の痛み方 頭をしめつけられるような痛み 後頭部から頭全体がしめつけられるような痛み ズキンズキンと脈を打つような痛み
痛みが起こる原因 首から肩にかけての筋肉が収縮し、血流が悪くなるため ストレスにより頭や首を囲む筋肉が過剰に緊張するため 脳内の太い血管を取り巻く神経が血管を拡張させるため
頭痛以外の症状 めまいや吐き気、身体のだるさ 肩や首の強いこり めまいや吐き気、身体のだるさ

熱中症の頭痛は、頭をしめつけられるような痛みで緊張性頭痛に似ています。しかし緊張型頭痛の原因は首から肩にかけての筋肉が収縮し、血流が悪くなることです。

緊張性頭痛の痛みは生活に支障をきたすほどの痛みではないですし、熱中症で起こるような吐き気や意識障害といった症状は出ません。

また偏頭痛の場合は、めまいや吐き気、身体のだるさを伴うため、ひどい偏頭痛になった場合の症状と熱中症による頭痛は似ています。

しかし、偏頭痛は脳内の太い血管を取り巻く神経が、何らかの原因で血管拡張させるために起こる頭痛です。

なので偏頭痛はめまいや吐き気などはあっても、頭をしめつけるような痛みではなく、ズキンズキンと脈を打つような痛みなので、熱中症の頭痛とは異なります。

頭痛薬は解熱鎮痛剤です。緊張性頭痛や偏頭痛の場合には有効であっても、熱中症の頭痛の場合は、脱水症状を改善しなければ痛みは治りません。

すぐに身体を冷やして休むこと、そして水分補給を行いましょう。

なぜ熱中症で頭痛が起きるのか。頭痛が起きる「熱疲労」状態とは

熱中症の症状から見た診断基準は、大きく4つに分類されます。

熱中症の分類表

  • 分類Ⅰ度:熱失神
  • 分類Ⅰ度:熱けいれん
  • 分類Ⅱ度:熱疲労
  • 分類Ⅲ度:熱射病

この中で、分類Ⅱ度にあたる「熱疲労」が頭痛を引き起こしている状態です。

熱中症の分類Ⅱ度、頭痛が起こる熱疲労はからだがどんな状態なのか

ヒトは自分の体温を適度な範囲で保つために調整する機能を備えています。身体に異常がなければ、体温は極端に上昇しません。

暑い時は自律神経の働きによって汗を出します。汗を出すことによって身体の中の熱を奪って蒸発し、体温を下げるのです。

しかし、高温多湿の中にいて急激に体温が上昇してきた時、自律神経の働きにより大量の汗を出します。すると、どんどん体内の水分が減少していき、血液循環もアンバランスになってしまうのです。

そのため、肝心な脳や内臓への血液量が足りなくなることで熱疲労という状態になり、頭痛やめまい、吐き気と言った症状が表れてしまいます。

熱けいれん、熱失神、そして危険な熱射病の状態とは

熱中症の分類には先述した「熱疲労」のほか、分類Ⅰ度の「熱けいれん」「熱失神」、分類Ⅲ度の「熱射病」があります。

熱けいれん 大量の汗が出ると水分だけでなく、塩分やミネラルも失われていきます。体内が水分不足の時に、一気に塩分の少ない飲み物や普通の水を飲むと、さらに体内の血液に含まれる塩分やミネラルの濃度が薄まります。

それが原因となって起こる症状が、熱けいれんです。手足の筋肉がけいれんしたり、足がつったり、筋肉痛が現れたりします。

熱失神 手先・足先に血液が集中することが原因となり、脳に充分な血液が行き届かず、立ちくらみやめまいなどの症状が現れます。

高温多湿の中で体温が上昇すると、自然に身体は手先や足先などにある末梢血管を広げて、体温を下げようとします。この時に立ったままの状態でいると、熱失神を起こしやすくなります。

熱射病 脱水状態や血液循環が滞ることによって、汗が出なくなり、末梢血管も広げられなくなってしまうと、体内に熱がこもってしまいます。40度以上の高熱を伴い、また全身の臓器や脳までもが、高熱の影響を受けてダメージを受けてしまいます。

その結果、意識障害や全身の臓器障害、体温調節不全におちいるのが熱射病。この状態にまで症状が進行すると、生命を落としかねない状態です。

以上、合わせて4つのタイプを説明しましたが、どの状態でも症状が悪化していくと大変危険です。速やかに救急車を呼び、手当てを受けましょう。

熱中症のサインを見逃さないで!乳幼児や高齢者の様子にも注意

熱中症の予防に努めているつもりでも、実際は充分に予防できていないことがあるかもしれません。熱中症のサインを知ることも必要です。

特に乳幼児や高齢者の場合は、体温調節機能が充分ではありません。また、自分自身で熱中症のサインが出ていることに気づかなかったり、訴えられなかったりすることもあります。

  • 頭痛がある
  • 口が強く渇いている
  • 立ちくらみやめまいがある
  • 吐き気やおう吐がみられる
  • 手足がけいれんする
  • 身体のだるさがある
  • 汗をたくさんかいている、または汗が出ていない
  • 意識がもうろうとしている

このようなサインが見られたら、速やかに涼しいところに移動して身体を休ませ、水分補給をしましょう。

熱中症にならないために気をつけること

熱中症にならないためには、適切な方法で予防することが重要です。当たり前のこと、今更…なんて思わず、しっかり見てくださいね。

1.暑さを避ける工夫をする

自分のいる環境を把握し、気温や湿度、体温の上昇を防ぐ工夫をしましょう。

  • 窓を開けて風通しをよくする
  • カーテンなどで直射日光をさえぎる
  • 冷房や扇風機を有効に使用する
  • 外出時は帽子や日傘を使用し、直射日光の当たらない場所に移動する
  • 通気性・吸水性に優れた衣類を着用する
  • 高温多湿の場所で仕事をする時は、適度に暑さを避けて休憩する

2.こまめに水分補給をする

暑い時期は身体が自然と体温調節しようとしているため、汗をかいている状態が続きます。水分は一気に飲むのではなく身体の外に出た汗を補う感覚で、のどの渇きを感じていなくても、こまめに水分補給をしましょう。

3.規則正しい生活をする

当たり前のように感じますが、特に夏場は暑さや長期休暇により、生活リズムが乱れがち。気づかないうちに夏バテし、体調不良になっていることがあります。栄養バランスのとれた食事をすること、睡眠をしっかり取ることを心がけましょう。

怖いのは夏だけじゃない!普段から熱中症の予防をしよう

実は、熱中症の患者数は暖かくなる始める5月から増え始めます。そして梅雨入りする6月以降は温度差が激しい上、高温多湿になるため室内で熱中症になる人も増加します。

つまり夏以外も熱中症になる危険が高く、普段からこまめに水分補給をしたり、いつまでも暑い環境の中で我慢をしないことなど、予防に努めることが大切なのです。

環境省の熱中症予防情報サイトでは、熱中症の応急処置のガイドラインが掲載されています。

救急車を呼ぶべき症状や、医療機関への受診が必要な状態を判断し、どう行動すべきかのイラストがありますので、参考にしてください。

環境省ページのスクリーンショット画像
熱中症の応急処置 – 環境省:熱中症予防情報サイト

熱中症になりやすい時期は心配ですが、きちんと理解して適切な対処ができていれば充分に予防できます。

吐き気がある頭痛は熱中症かも?という意識をもってしっかりと対策を取り、存分にアウトドアや旅行など楽しい夏を過ごしましょう。

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