風邪が原因で起こる頭痛の治し方!メカニズムを知れば即効で治せる
頭痛ってつらいですよね。中でも風邪によって引き起こされる頭痛を経験したことがある方は多いのではないでしょうか。
なぜ風邪をひくと頭が痛くなるのか?そして、風邪が原因の頭痛を治すには、どのような方法があるのでしょうか。
MR(医薬情報担当者)歴20年の筆者が、風邪による頭痛に効く薬もふまえてお話します。
風邪をひくとなぜ頭が痛くなるのか
風邪はある種のウイルスに攻撃されている状態です。ウイルスに体(組織)が刺激されると細胞からアラキドン酸というものが放出されます。
荒木さんとか荒木どんを彷彿とさせる言葉です。「アラキドン酸」です。
さらに「アラキドン酸カスケード」という言葉があります。荒木さんがカスタードクリームを食べたと覚えると混乱するでしょう。
このアラキドン酸カスケードというのは、アラキドン酸から始まって酵素の働きで色々な物質に変化していく過程を言います。
アラキドン酸を代謝(変化)させる酵素で有名なものがシクロオキシゲナーゼです。全然有名じゃないと思った人も多いかと思いますが、意外と有名です。
アラキドン酸が変化した結果、プロスタグランジンという物質が作られます。ネアンデルタール人やクロマニオン人と雰囲気が似ていますが人種の名前ではなく生体内の物質の名前です。
このプロスタグランジンが痛みの原因物質ブラジキニンの作用を増強するので痛みが発生するのです。
分かりやすく説明をしようとしてかえって分かりにくくなってしまったかもしれませんが、風邪によって頭痛が起こるメカニズムはつまり、風邪をひくとウイルスの刺激で細胞からある物質が放出されて、それが痛み物質を刺激する…といった感じになります。
風邪による頭痛を治す方法
風邪をひいて頭が痛くなると笑顔でいられなくなります。眉間にしわを寄せてしまうかもしれません。
笑顔、それはお金を掛けずにあなたの印象をよくしてくれる素敵な表情。それが頭痛で失われてしまいます。
さらに頭が痛いと寛容ではいられなくなります。些細なことでイライラしてしまい、つい「ちっ!」とか舌打ちをして周りの人を氷つかせてしまうかもしれません。
素敵なあなたを嫌な奴に変えてしまう恐ろしい頭痛、なんとかしなくてはなりません。
風邪による頭痛を治す方法には色々あると思いますが、主なものとしては以下の3つがあります。
- 風邪を治す
- 薬を飲む
- 頭を冷やす
風邪による頭痛を治す方法1.風邪を治す
風邪による頭痛を治す方法でまず思い浮かぶのは風邪を治すことです。
原因となっているものを治すから原因療法と言います。これとは別に風邪による頭痛だけを治す方法を対処療法と言います。
対処療法は「痛いのだったら痛みをとれば良い」と言う大変分かりやすい考えなのですが、原因が治ってもいないのに、痛みなどの症状がなくなってしまうと、気がゆるんで原因となる病気やけがが悪化してしまうこともあります。
ですので、風邪で頭が痛いのなら風邪を治せば良い、という発想は結構大切です。
風邪を治す方法・薬は有効じゃない?
風邪で頭が痛いのなら風邪を治せば良い、と言葉でいえば簡単ですが実際はなかなかそうもいきません。
風邪はある種のウイルスによって起こる上気道炎と説明いたしましたが、そのウイルスをやっつける薬はまだ開発されていないからです。
バブル景気に沸いて日本の淑女たちが扇子を振って踊っていたころ、まだインフルエンザウイルスに効く薬は発売されていませんでした。タミフルが日本で発売になったのは2001年のことです。
ウイルスと薬が闘えるようになったのは比較的最近のことです。いずれ風邪にも効く薬が誕生すると良いですね。
風邪による頭痛を治す方法2.頭痛に効く薬を飲む
風邪による頭痛を治すには「薬を飲む」という方法があります。さきほど風邪を治す薬はないとご説明しましたが、風邪による頭痛を治す薬はあります。これが対処療法です。
頭痛はプロスタグランジンによって引き起こされます。プロスタグランジンはアラキドン酸がシクロオキシゲナーゼによって代謝されて産生されます。
具体的なお薬の名前で言うと
- アスピリン
- ロキソニン
- ボルタレン
などが代表的なところです。
これは直ぐに効きます。ボルタレン錠でしたら平均26分で痛みに効きます。
痛くてしょうがない時に薬を飲んで痛みから解放されると本当に薬の存在に感謝します。そして痛みのない普通の状態のありがたさを知ります。
風邪をひいて頭が痛くなったら薬(NSAIDs)を飲めばいい、これで解決です。
とはいかないのがこの世の複雑なところです。薬はもろ刃の剣と言います。薬の負の面も見ておきましょう。
風邪による頭痛で薬を飲むことのマイナス面:胃が荒れる
NSAIDsを飲むとプロスタグランジンが作られなくなって痛みがおさまるのですが、このプロスタグランジンは痛みを生むだけではないのが問題です。
プロスタグランジンの作用に以下のように様々なものがあります。
- 胃粘膜保護作用
- 血管透過性の亢進
- 血管拡張
- BK作用増強
- 血小板凝集抑制
- 子宮平滑筋収縮
NSAIDsを飲むと痛みはおさまるのですが、プロスタグランジンは胃粘膜を保護する働きもあるので、それが失われてしまいます。
ですので痛みどめの薬を飲みすぎると胃があれてしまうのです。ひどいと胃から出血してしまったりするので服用には注意をしましょう。
NSAIDsを飲むときはたっぷりのお水と一緒に服用するようにして胃壁に薬がくっつかないようにします。
風邪による頭痛で薬を飲むことのマイナス面:インフルエンザ脳症
風邪による頭痛を抑える薬NSAIDsは痛みを抑えるだけでなく、熱を下げる効果もあります。
そのため以前はインフルエンザで高熱が出たときもNSAIDsはよくつかわれていました。
しかし、今では一部のNSAIDsを小児のインフルエンザで使用するとインフルエンザで脳症を起こす危険があることが分かっていて禁忌となっています。
インフルエンザに全てのNSAIDsの使用が禁止されている訳ではありませんので、医師や薬剤師の先生の指示に従ってお薬は正しく使いましょう。
風邪による頭痛を治す方法3.頭を冷やす
風邪が原因の頭痛を治す方法に「頭を冷やす」というものがあります。
「頭を冷やす」と言っても、その場を離れて深呼吸をして、というタイプの「頭を冷やす」ではありません。
氷枕やアイスノンを頭にあてて、物理的に頭を冷やす方法で頭痛が緩和します。
頭を冷やすとなぜ頭痛がおさまるのか
頭痛は様々な原因で起こります。そのメカニズムは頭の中の組織が、
- 圧迫される
- 引っ張られる
- 炎症を起こす
というように大別されます。風邪による頭痛はある種のウイルスによって組織が刺激され、炎症を起こしているから発生します。
ですので冷たいものをあてて炎症を抑えてあげることで頭痛が緩和します。
風邪による頭痛を治す方法:冷すことの注意点
風邪による頭痛は炎症が原因で起こっていますので冷やすことで症状の緩和が期待できます。
でも、頭痛には様々な原因があり、冷やしてよい頭痛と、冷やしてはいけない頭痛があります。
あなたの頭痛は風邪が原因ではないかもしれません。風邪をひいていても、頭痛は他のことが原因で起こっていることも可能性としては考えられます。
冷やすことで悪化する頭痛があることも是非覚えておいて下さい。
風邪による頭痛はつらい…風邪をひかないに限りますね
みなさまいかがだったでしょうか。頭痛、つらいですよね。日本人の3人に1人、あるいは4割の人が慢性的に頭痛に悩まされていると言います。
頭痛持ちでない人も風邪をひけば頭痛を経験する可能性があります。
ご覧いただきましたように風邪が原因の頭痛は、風邪を治せばその頭痛も治ります。でも風邪を治すには数日かかります。
お薬を使えば頭痛は直ぐに治まります。でも使いすぎると胃があれたり、重大な副作用につながったりするリスクもあります。
頭を冷やすと言う方法もありますが、温めてはいけない頭痛を合併している人の場合は、逆効果になる可能性もあります。
つきなみな話になりますが、風邪による頭痛に悩まされないためには、風邪をひかないことが一番大事です。
マメな手洗い、うがいをして、ストレスや疲れを貯め過ぎず、風邪にまけない丈夫な体作りを心がけたいですね。